東京片恋専科。
そうだ私は…浮かれている場合ではなかった。
やさしい元カレ、亮太を無視し続けてここにいるんだった。


電話5回にメール8件てとこも、亮太らしい。何十回もしつこく掛けてくるわけではなく、おそらく本当に心配してくれて。私を想ってくれて。



《はぁ〜〜………》



私は心の中で大きなため息をつき、メールを読む。そして、うつむいて固まった。たぶん5分くらい固まってた。






「どしたの?」



「ひあああっ!!!」



予想外に声をかけられて思わず変な声が出た。



「…お、お、おはよう!!起きたんだね!」


「うん、おはよ。なに、大丈夫?」


広瀬くんは私の手元のスマホと私の顔を交互に見るようにしながら、色々と…と続けた。



「元カレでしょ?なんて?」


広瀬くんはなんだか全てお見通しのように聞いてきた。


「要約するとですね…

何時間も私の帰りを待ってくれたようですが、

私が無視するので、

とりあえず帰宅したようです。」



「うわぁ、元カレかわいそ…」


広瀬くんは思わず本音をポロリと漏らす。そしてそのあとでハッとし、口を手で押さえ、苦笑いをする。


私は広瀬くんといられた、昨日からの夢なような時間とこの現実の落差に耐えきれなくなり。気がつくとポロリ、ポロリと涙を流していた。


「わ、ごめん!小石川さんを責めたわけではなくて!」


まるで広瀬くんの言葉に泣いたかのようなタイミングだったので、広瀬くんが少し焦る。それも申し訳なくて。



「ちが…っ、ただ、なさ…け…なく…て」



私はなんとかそう言って、涙を拭い、深く深呼吸した。



「…ちゃんと、会って話さなきゃダメだよね」



自分に言い聞かせるように言う。
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