叶う。 Chapter1
「ほらー、静かにしろ!出席をとるぞ!」
始業のチャイムが鳴って直ぐに、厳つい見た目の担任が教室に入って来た。
バタバタと慌しく席につく生徒の足音を聞きながら、私は顔を上げて小さく伸びをする。
欠伸を噛み殺して未だ重たい瞼を開けると、鞄から筆記用具と教科書を取り出して無造作に机に突っ込んだ。
出席番号順に、担任が名前を読み上げる。
順調に名前と返事が聞こえてきたけれど、ある場所で担任の声と視線が止まる。
私は机に頬杖をついて、斜め向かいの一列隣の席に視線を向けた。
「冴島は?また遅刻か!?」
その席は凛ちゃんの席。
「月島、冴島から何か聞いてるか?」
「・・・・いいえ。」
「全くあいつは毎日遅刻だな。」
担任は飽きれたようにそう言って、また出席を取り始めた。
そう、凛ちゃんはまともに学校に来ることが珍しい。
そして、そうでなくても目立つ凛ちゃんは、色々と注目を集める事に長けている。
“問題児”
一言で言い表すなら、その表現が一番ぴったりだった。