思春期ベリーライン




肩を強張らせたまま。

ちらり、とわたしは右隣に視線をやる。



少しだけ距離のある隣に座るのは、ひとりの男の子。



ぱりぱりの真新しい学ランは早速着崩されている。

中学1年生にして、茶髪だし、目つきも鋭いし、すごくこわい。



隣に座ってるはずなのに、見上げなきゃいけない。

それくらい背が高いのがわかる。



だからって足が短いわけでもなくて、すごく窮屈そう。



同い年とは思えないくらい大人っぽい後藤くん。

今まで見た男の子の中でもトップクラスのおそろしさ。



わたし、まさかまさかの1番関わりたくないタイプの男の子と隣の席になってしまいました……。






どうしよう、という焦りと恐怖でわたしが固まっていると、



「穂香、大丈夫ー?」



小学生の頃から友だちの千菜(ちな)ちゃんが声をかけてくれた。



「ち、千菜ちゃん……っ」



ほっと体の強張りがとける。

後藤くんの方にまわってくれた千菜ちゃんに思わずきゅうっと抱きつく。



わたしと同じく、まだ硬い紺のセーラー服。

胸元の赤い紐リボンがわたしの頬に触れる。



「もう心が死にそうです……」

「穂香、生きてー!」






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