思春期ベリーライン
でも、そんなことを言ってちゃだめだよね。
わたしだってもう中学1年生。
小学生じゃなくなって、確かに大人へと少し近づいたんだから。
頑張ってなんとかお願いして、消しゴムを借りないと……!
目をつむってたら大丈夫かな?
声をかけてもなんとか平気かな?
とりあえず、相手は周りの席の中で1番こわくない斜めの席の子がいいかなぁ。
そうやって悩んでいたら、
ズダァン、と大きな音。
勢い余って硬いもの同士がぶつかり合ったような、そんな音がした。
それはわたしの隣────後藤くんの席からだ。
……な、なんの音なの。
一体なにが起きたの⁈ とこわくて横を見ることができない。
「ほら」
突然、目の前に伸びてきた後藤くんの腕。
わたしよりずっとしっかりしてて、既に立派な男の人の手をしている。
その骨ばってごつごつした手が、なにかを差し出してるみたい。
「えっと……?」
こてん、と首を傾げる。
この手は一体なんですか。