思春期ベリーライン




「早くしろ」

「は、はいっ」



えっと、これは……わたしも手を伸ばせばいいんだよね?

わからないけど、きっとそう。



これ以上時間をかけて、もっと怒られたりしたら嫌だし、殺されちゃうかもしれないから。

びくびくしながらも、えーいっと勇気を出して。

掌を上にして、そっと後藤くんの方に差し出した。



すると、ころん。

顔をうつむかせて、震えていたわたしの手の上に、小さな消しゴムが落とされた。



「え? え?」



思わず後藤くんの方を見る。

その手元には同じようにかくかくとした小さな消しゴムがあって……。



もしかして、……ううん絶対。

後藤くんがわたしのために消しゴムをものさしで切ってくれたんだ。



さっきの音の原因はそれだったんだね。



わたしが困っていたから。

だれにも言えずにひとりで焦っていたから。



ああ、なんて────、






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