別冊☆海宝堂*短編集*
でも、

頭がしびれる。

体が反応する。

声が大きくなる。

彼の動きに流されて溺れていく。

彼が私を貫く度に何も考えられなくなる。
髪を振り乱して、彼に合わせて体を振って、ただ、彼を求めるだけになり下がる。

ずっと…離さないで…

私だけが知っているあなたを、このまま独占させて…

目の前が暗くなっていく…

それは夕日が姿を消したからなのか、それとも…

私が意識を手放したからなのか…

「…ホントに、悪かった…」

遠くなる意識の中、彼はその言葉と、キスを私の涙に落とした。

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