イケメン同期に素顔を見抜かれました



「かっこ悪いよな、俺」

有村の言葉に黙って首を横に振る。

「でも、崎坂となら、本当の自分でいられると思ったんだ。等身大の自分で付き合えると思ったんだ」

「…………」

「ちゃんと、真理とは別れてきたから。少しだけわがまま言われたけど、最後はきちんと別れてきた」

「わがままって?」

「……いいだろ、別に」

「よくない、何?」

「……キス、しろって」

「……それって、F市のクリスマスツリーの前?」

「な、なんでそのことっ……!?」




慌てる有村、反対に冷静な私。

なんだ、紗希の写真のキスシーンは、真理ちゃんの最後のわがままだったのか。

モヤモヤしていた気持ちが晴れて、ちょっとだけスッキリした。

「ひとりで何スッキリした顔してるんだよ」

顔を上げると、そこには不満げな顔をする有村の姿。

「別に、なんでも」

「俺はまだ、スッキリしていないんだけど。このまま来年なんて迎えられない」

真剣な瞳と目が合った。




「俺は、崎坂のことが好きだ。だから、お前の気持ちを聞かせてほしい」




ねえ、お姉ちゃん。

私に勇気をちょうだい。

手のひらにあるお姉ちゃんからの手紙を握りしめる。





―――芽衣へ

有村くんのこと、信じてもいいとお姉ちゃんは思います。

素顔の芽衣を、ちゃんと愛してくれる人だと。

初対面ですがそう思ったよ。

だから、芽衣。

ちゃんと自分の気持ちを、自分の言葉で伝えなさい。




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