初恋の君は俺を忘れてしまいました。

頼って?

Said sana


私は昂と教室へ行く前に職員室へ寄った。


昂には先に教室へ行ってもらった。


私は何枚かの書類が入った封筒を鞄に入れ、職員室を出た。


教室に入ると、昂はなんだか上の空だった。


昂に話しかけようとしたとき、先に水樹に声を掛けられた。


「沙菜、やっぱりなんかあったでしょ?」


「え?なんにもないよ?」


「最近、ってゆうか、昂の家に行った後ぐらいから、なんだか変わったね」


「・・・そう?」


昂の家に行った日ってことは、お母さんたちと改めて向き合って、話ができた日だ。


「うん。・・・なにか、決めた?」


この人はエスパーか?


「違うよ。顔に出てるだけ」


「本当にエスパーだよ」


「・・・それなら、沙菜限定かな?」


「え?」


水樹は何かつぶやいたが、私には聞こえなかった。


「なんでもない」


「・・・そっか」


「ねえ、沙菜」


「ん?」


「デートしよ?」


「いいよー・・・って、え?デ、デート?」


「うん」


「んーと・・・・」


「嘘だよ。付き合ってほしいところがあるんだ。一緒に行って?」


「なんだあ。いいよ。いこ」


「じゃあ、放課後、待っててね」


「わかった」


水樹と放課後の約束をして、席に着いた。


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