初恋の君は俺を忘れてしまいました。
学校に着くと、沙菜はクラスのみんなに囲まれた。


「急にどうしたの?」


「大丈夫?」


そんな声が教室に飛び交う。


沙菜はみんなに笑顔で答えるんだ。


「大丈夫だよ」


って。


先生は沙菜のことについて、何も触れなかったし、今日も触れることはなかった。


沙菜は今日一日、普通に授業をしていた。


前のようにみんなと笑って、千里と俺が口喧嘩をしているところを見て笑ったり、水樹と真面
目に勉強の話をしていたり。


よかった。


前みたいに戻ったんだ。


・・・そう、思っていたのに。
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