それでも愛してる。




学校に着くと

校門の前で私達は止められた。


「鈴野、話あるんだけど…。」


前に私を呼び出した女の子だ。
でも、今日は1人だった。


「あ、愛菜…。」


心配してくれる2人に
笑いかけて私はその人について行った。



場所はあの日と同じく体育館裏。


ただ前と違うのは
彼女が1人とゆう事。


「あのさー…。」


今日はなぜだか言葉が詰まっている様子。


「なに?」


私の顔を見ずにいた彼女は
急にまっすぐ私を見た。


その真剣な顔。
初めて見た気がした。


「太陽の事なんだけど。
最近学校来てないし連絡もとれない。

鈴野なら何か知ってる
と思ったんだけどー…。」


驚いた。
太陽に関わるなと言ったあの時とは
まるで別人のようだった。

あんなに嫌っていた
私に頼るくらい
今は悩んでいるんだってわかった。


「ごめん、私もわからない。」


最近学校来てないのも
気づいてたけど
そんなに深く考えていなかった。


「そっか。」


そう言って立ち去ろうとした。


「待って。」


立ち止まった彼女に私は続ける。


「どうして嫌ってた私に聞いたの?」


彼女は少し目を見開いたがすぐに
力が抜けた。


「悔しいけど鈴野と話してる太陽
あたし達に見せる笑顔とは
全然違った。

あたしがどんなに追いかけても
太陽に1番近かったのは
愛子さんって人よりもあたし達よりも


あんただったってあたしは思う。」


それだけ言って彼女は
行ってしまった。




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