不機嫌な君
驚きの眼差しで上を見上げると、不機嫌な顔の金崎部長が、私に書類を差し出していた。

私は慌ててそれを受け取る。
…何を動揺してるんだ私は。…葉月さんは、あの日の夜の事は知らない。話してないんだから。

「…それを…」
回らない頭で、金崎部長の説明を聞き、説明が終わると向こうに行った。

私は思わず溜息をついた。

「金崎部長となんかあったの?」
「…え⁈」
その言葉に、またしても動揺してしまう。

「…あったんだ」
「…」

その言葉に凍りつく。
葉月さんは、溜息をついて、私の肩を叩いた。

「…昼休みに、ぜ〜んぶ、白状してもらうから」
そう言って浮かべた笑みは、とても怖かった。

…仕事中、何度か見かける葉月さんは、含み笑いをして私を焦らすし、金崎部長に頼まれた仕事は、間違えて怒られるし、拷問のような時間を過ごした。

「…で?金崎部長と何があったの?週末は私達と過ごしたし、私達と別れてからは悠斗さんと2人だった筈だし、日曜は、買い物行こうって誘ったのに、今日は家で過ごすの一点張りで…

金崎部長と何かあるなんてこと皆無よね」

昼休み、早速尋問が始まった。
あ〜…話すのが、怖い…怖過ぎて、私は黙々とランチを頬張った。

美味しい筈のランチの味が、さっぱりわからなかった。
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