インナーチルドレン(かわいい金魚番外編)
「いいよ。行ってこいよ」



純が言うと。
男の子が、パッと顔を輝かせる。


立ち上がって、人混みに紛れる小さな背中を、純は座ったまま見送った。



最初にあいつに気が付いたのは、いつだっけかな。



今よりもっと、中途半端だった頃。



バイトも続かず、アパートの家賃も滞納していた。



自分が何をやりたいのか、それさえ見えなくなっていた。




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