ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
世の中の男たち全員を嘲笑うような気分になっていたとき、また電話が鳴った。




「はい、文芸編集部です」



『香月さんはいらっしゃいますか?』



「はい、私が香月ですが」



『外線です、よろしくお願いします』



「ありがとうございます」




がちゃりと内線の切れる音がして、外線と繋がった。




「お電話代わりました。香月です」



『ああ、智恵子。久しぶり』




嬉しさを隠さないようなその声に、私は思わず口許を綻ばせる。



もう一人のラスボス。


攻略すべき難敵。




「ーーー朝比奈先生。

ご無沙汰しております」




私は高すぎず低すぎない、でも女性らしい潤いのある声音で答えた。


そこに笑みを滲ませることも、もちろん忘れずに。



この声を聞いた男はみんな、私が自分に気があると思い込むのだ。




この男も、もちろん同じ。




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