ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
『あ、智恵子、いま照れてるね?』




嬉しそうに笑いを含んだ声。


私は眉をひそめて即座に反論する。




「………照れてなんていません。

そんなはずないでしょう」




この私が、男の言葉に照れるなんて。


あるわけがない。




でも、思わず否定してしまってから、これでは可愛げがなかったか、と反省した。



きっと朝比奈先生は、他の大多数の男と同じように、『可愛い女』が好きなはずだ。



初めにバーで会ったときに一緒にいた女の子は、いかにも可愛らしい感じの子だった。




「ごめんなさい、嘘です。

本当は照れてしまいました。


………好きだなんて、嬉しくて。

でも、ちょっと恥ずかしくて………」




純粋な乙女がふっくらとした白い頬を赤らめる様子を想像しながら、私はそう言ってみる。



すると先生は、訝しげな声を上げた。




『………どうしたの? 智恵子。

君らしくもない………』




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