ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
しばらく先生は何も言わずに空を見上げていた。


私もそれにならって天を仰ぐ。




よく晴れた朝の空は、うすい水色をしている。


優しい色だな、と思った。




「………たくさんの女の子と付き合ってきたけど」




先生が唐突に口を開き、空を見上げたまま呟いた。



「知ってます」と答えると、先生はふふっと笑う。




「でも、智恵が初めてなんだ。

この子さえいればいい、って思ったのは」




胸の奥のほうがどくりと脈打った。




「俺がこんなこと言っても、信じられないかもしれないけど」




心の中を見透かされているんじゃないだろうか、とどきりとした。




「でも、本当なんだ。


今までは、誰と付き合ってても、すぐに他の女の子に目移りしちゃって………女の子はみんな可愛いし、魅力的だし、惹かれちゃうのは仕方がないって思ってた。


なのに、智恵と出会ってから、もう智恵しか目に入らなくなった。

他の女の子のことがぜんぶ頭から消えていって、智恵のことばっかり考えるようになった。


智恵と付き合うときに、女の子たちの連絡先は全部消したけど、自分でも驚くくらい、全く未練なんかなかったよ」




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