ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
女は洗面所のほうへ歩いて行き、私は一人リビングに残される。



しばらくして、がちゃり、とどこかの部屋のドアが開く音がした。




「ソウコさぁん、どこー?」




眠たげな男の声。


これが、朝比奈先生の声だろうか?




「洗面所にいるわよ」



「出てきてよ、ソウコさん」



「はいはい………」




私はリビングのドアのほうに顔を向けた。


廊下の奥に、女に覆いかぶさるように後ろから抱きつく男の姿が見える。




「おはよ、ソウコさん」




男は甘えたような鼻にかかった声で言い、女の肩に顔を埋めた。




「もうお昼すぎだけどね」



「ごめんごめん………お腹すいちゃった、ごはんある?」



「あるけど、お客様がいらしてるから、また後で、ね」



「ええ〜………誰?」



「あなたのお客様よ。編集者さん」




そこまで聞いて、私はソファから立ち上がった。


リビングのドアをくぐり、廊下に顔を出す。




「朝比奈先生、はじめまして。

お休みのところ突然お邪魔してしまい、申し訳ございません。

わたくし、真栄社の香月と………」




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