ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
営業スマイルを浮かべながらそう言いかかた直後。




「…………え」




私は動きを止めた。




「え、え……っ? あ、あなたは………」




私は口をぱくぱくさせて、女に抱きついている男の顔を凝視する。



ーーーやっぱり、そうだ。


見間違いようがない。



この顔は、紛れもなく………。




「あっ、君は! あのバーの美人さん!」




ぱっと顔を上げた男は、目を丸くして私を指差してきた。



ソウコさんが、「なぁに、あなたたち知り合いなの?」と首を傾げる。



男ーーー朝比奈先生はにっこりと笑い、ことの次第を説明した。




その間に、あのとき朝比奈先生に働いた数々の無礼を思い出し、私は蒼くなる。



まさか、こんなことになるなんて………。


バーでたまたま隣り合わせて、あまりにも考え方が違うので腹が立って、きつい言葉で罵倒した人が、まさか仕事上のつながりを持つ相手になるなんて。



しかも、編集者と小説家。


私はこの人の機嫌をとって、絶対に不愉快な思いなんてさせちゃいけないのに。



あぁ、でも、今さら悔やんだって仕方がない。


これから挽回するしかない。




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