ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「………先生。

お楽しみのところ申し訳ございませんが。

今日は、真栄社との打ち合わせがスケジュールにもとから入っていましたよね?

ですから、仕事のお話を優先させてください」




私は引きつりそうな頬を必死に抑え、ソファから立ち上がる。



朝比奈先生に抱きつかれているソウコさんに目を向け、「ソウコさんには申し訳ありませんが」と前置きをした。




「朝比奈先生をお借りしてもよろしいでしょうか?

そろそろ本格的に執筆を始めていただかないと、先生の才能が埋れてしまいかねません。


出版界というのは、世間が思う以上に競争の激しい世界なんです。

流行にも左右されますし、社会の風潮で売れ行きが変わります。

いくら才能のある作家でも、時機を逃してしまったら、売れるものも売れなくなってしまうんです。


ですから、私どもは、少しでも早く先生の新作を世に出して、朝比奈光太という作家の存在を世間に植えつけたいんです」




私が一気にそう言うと、ソウコさんは「どうぞ持っていって」と鷹揚な笑みを浮かべた。


話の分かる人で良かった。




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