ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
どうやら、本当に光太郎と智恵子のように呼び合いたいらしい。


まったく困った人だ。




「………はいはい、分かりました。

光太郎さん、行きましょう!」




そう言った瞬間、朝比奈先生の顔がぱあっと輝いた。


まるで、誕生日のプレゼントをもらった子どもみたいに屈託のない表情。




「はぁい♪ 行こう行こう」




朝比奈先生はうきうきした足取りで玄関に向かっていく。


それを見て、ソウコさんがくすくすと笑っていた。


可愛くてしかたがない、といった様子で。


この人も物好きな女ね。



私はソウコさんに頭を下げ、朝比奈先生の後を追う。




「じゃあね、ソウコさん。

今回もお世話になりました。

またよろしくね」




靴を履いた先生は、見送りに出てきたソウコさんを抱きしめる。


ソウコさんは先生の背中に手を回し、ぽんぽんと叩いた。




「あなたの新作、楽しみにしてるわ、センセ」



「うーん………まぁ、うん………」




先生は誤魔化すように首を傾げて、エレベーターへと足を向けた。




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