~color~サイドストーリー




「ああ、疲れた……」


家に帰りソファーに腰を下ろすと、あたしは目を瞑った。


「よし!!」


そう気合を入れなおすと、最近作った書斎部屋へと足を運びパソコンデスクの椅子に腰かける……




ーーーーーーーーーー



《流奈、なにしてるの~?》


《ん、小説書いてるの!》


《小説?》


《うん、今の自分がここにいる全てを書いてるの!》


《マジ?それ本とかになったらすげ~な》


《まぁね、でも自己満だからさ!》


《じゃぁ、もしものもし、俺と別れることになったりしたらさ、2人の物語書いてよ~》


《えー?いいよ、もし別れることになったら飛翔くんとのこと書くよ》


《よっしゃぁ~そしたら、俺、必ず読むから!》


《うん》


《その前に別れたりなんかしねぇけどな!!》


ーーーーーーーーーー



そう、飛翔くんとのやり取りを思い出す……


あたしは、あの後もずっと小説を書き始めてた。


小説に没頭できるようになったのは、飛翔くんのお蔭かもしれない。



色んな感情が目まぐるしく動く中で全てを文章へとぶつけられるから……。



「よし!!やるぞ!!」



目の前に積まれた沢山の原稿用紙。




そう、あたしが書き続けていた小説は奇跡的にも出版されるお話を頂いた。


その出版に追われて、今ははっきり言って睡眠時間なんてないに等しい。


仕事から帰ってきて朝方までこうして、出版に向けて、ひたすら原稿とにらめっこ。



そして夜が明けるころに、あたしは朝食作りから始まり、普通の主婦の仕事をこなす……。





小説を書いている時こそ、あたしがあたしでいられる気がしてた。








< 12 / 13 >

この作品をシェア

pagetop