~color~サイドストーリー
いくつもの仮面と鎧は取り戻したはずなのに、どうしてか、いまだに誰かに触れられることを躊躇してしまう自分がいる。
そして、飛翔くんのない影を探してしまうんだ。
皮肉にも、2人の思い出の曲は、お店の女の子がよくカラオケで歌ってるし、飛翔くんみたいに、ぶっきらぼうなお客さんもよく来る。
その度になぜだか、あたしの胸はズキンと痛みを増す……
まだまだ、夢の中から、はっきりと目を覚ましていないのだろうか……
「なんかさ、最近また伊織さ、雰囲気変わったよな?」
「えっ?」
「なんつ~かよ、良くわっかんねぇ~けど、変わった」
「そうかな?」
吸っていたタバコを灰皿の上で揉み消すと、カクテルに手をのばし、一気にそれを体内へと流し込む。
「恋してるのかもっ!」
「はっ?」
そう、あたしはきっと恋しているんだ……
そっくりな2人のつばさに
今も変わることもなく、ずっと……