【短】俺の花嫁!
『朝一番、私のところにきて、一昨日のパーティで私の代役をした彼女はどこにいるかって!』
「ウソ……。」
私の彼への想いは、一晩の恋で終わらせようと思ってた。
彼と私は、天と地が引っ繰り返ったって、釣り合うことはないんだと、自分に言い聞かせて。
それが、私が傷つかずに済む一番の得策だとも、分かってて。
自分が勇気を出せば会えるかもしれないのに、その可能性も無視してて。
『茉央、自分で自分の気持ち、自覚してんでしょ?どんな気持ちで彼が私に会いに来たかも、茉央ならわかるでしょ?』
「……ん。」
そんな自分に甘すぎる私を、彼はまだ想ってくれていた。
勝手に自分から離れていった女を探すなんて、勇気と覚悟がなきゃできないはずだ。
『言っとくけど、茉央の素性、彼に全部話しちゃったから。』
「えっ」
『これが私の最後のお節介なんだからね!有り難く思ってよ!』
こういう時、彼女の姉御肌に救われる。
私が踏み出せない時にいつも、私の背中を押してくれるのは彼女だった。
彼女のエールは、ストレートで力強くて、弱気な私に勇気を与えてくれる。