【短】俺の花嫁!
急ピッチでカフェの駐車場に車庫入れをして、カフェの裏口に回る。
「ただいま戻りましたー!」
裏口から入ってすぐ目の前にあるキッチンにいる新人の中田さんが、必死にパンケーキを盛り付けているのが見えた。
『あっ、篠原さん!マスターが心配してましたよー?』
「あちゃ、やっぱりー?ごめんね、ちょっと道が混んでてさ。」
『そうなんですか?あそこら辺は混みやすいですもんねー。』
私のウソに納得してくれた中田さんに、小さく後ろめたさを感じつつも、すんなり信じてくれてほっとした。
早くホールに行かなきゃ。私、今日はホールの仕事だし。
パンケーキの盛り付けに奮闘し始めた中田さんの後ろを通り抜けて、ホールに出る。
「マスター、すみません。心配かけたみた――…っ!」
ホールに出て、マスターとカウンターを挟んで前に座っている人物を見て、私のすべての動作が止まった。
ウソ――何で、
『やっと見つけた。俺の花嫁。』
「……っ」
席に座っていた人物は、私と目が合うなり、立ちあがって私の目の前まで距離を縮める。
彼に掴まれた手が、これは夢じゃないと私に教えてくれた。