【短】俺の花嫁!
――「え?不在?」
受付で、ついさっきも案内してもらったばかりの受付嬢さんに、彼の所在を聞くと、まさかの外出中との返答が返ってきた。
考えナシだった私の痛恨のミス。
てっきりココにいるものだと…早とちった私に恥ずかしさが積もりに積もって、ここから逃げ出したい衝動にかられた。
『何か、小鳥遊に御用がありましたら、こちらからお伝えいたしますが、』
「えっ、あッ…いいです、結構です!し、失礼しました!」
これ以上そこにとどまり続けることも、こんな私用込々の話を初対面の方に話すのも、私のメンタルが耐え切れなくなって、逃げるようにその場を後にした。
現実って…甘くないな。
改めて痛感した瞬間。
車に戻ると、マスターから電話が掛かっていたことに気づく私。
あ、ヤバい。
あまりに配達が長いから、心配の電話だったかも。
私が受付に行っている間にマスターから電話が掛かってきたことに罪悪感を感じつつ、今の心境でマスターに掛け直すのは乗る気になれず、代わりに車を飛ばしてカフェに向かった。
とりあえず、早く店に帰ろう!