花の下に死す
***


 「無礼者……」


 今宵も義清は堀河の元へ忍び込み、抱き合っていた。


 抱き合う前、義清の身分を蔑んだ言葉を吐いて焦らすのは・・・堀河のいつもの癖。


 散々拒絶しておいて、結局は体を許してしまう。


 言葉とは裏腹に、体は強く欲していることを、義清は熟知していた。


 この夜はいつもにまして、深く求め合った。


 共に形のない不安を抱えているがゆえかもしれない。


 ……。


 「鳥羽院の側室、藤原得子さまが皇子をお生みになられたな」


 保延5年(1139年)5月18日、皇子体仁(なりひと)誕生。


 鳥羽院の第八皇子でありながら、院は崇徳帝の後にこの体仁を即位させようと目論んでいると、誕生直後から噂されていた。


 すると噂通り、八月になって鳥羽院は強引に、この皇子を皇太子としたのだった。
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