花の下に死す
 「世間で何が起ころうと、ほとんどお心を動かされない璋子さまが、今回ばかりは非常に塞ぎ込んでおられます」


 「……崇徳帝は待賢門院さまの御子。鳥羽院に疎まれる原因を作ったのが待賢門院さまであられるとはいえ、やはり帝が今後厳しい立場に置かれると考えただけで、心穏やかではいられないのだろう」


 「まさにその通り。璋子さまも帝の今後の行く末を、非常に案ぜられておいでなのです」


 「……」


 崇徳天皇の治世を通じて実権を握り続けているのは、(表向きは)父である鳥羽上皇。


 そして鳥羽上皇は自らの権勢が強大であるうちに、崇徳天皇の次の天皇位を第八皇子の体仁に定めた。


 さらに幼い我が子に権力を継承させ、院政の継続を狙うのと同時に。


 崇徳を権力の中枢からふるい落とし、後の巻き返しを阻止するため。


 「そしてついに野心の人・藤原得子は帝の母、すなわち国母の地位を手にして、この国で最高位の女性の地位を得るわけか」


 「本来なら第一の妃であるはずの璋子さまの地位も、逆転してしまうのは時間の問題でしょう」


 堀河の美しい横顔が翳る。
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