花の下に死す
 義清は混乱していた。


 この難局をどう乗り切るか。


 どう言い逃れしても、現場を押さえられた以上無駄なことだろう。


 (命を賭けて愛し抜いてみせると誓ったのに……)


 約束は口にするだけならばいとも簡単なことなのに、それを果たすということはいかに困難か、義清は身に染みて実感していた。


 (私と璋子さまがこんなことになったのも、璋子さまを長年顧みることなく、側室をご寵愛なさっていた院にも責任がある)


 そうはっきり言い返してやりたかったが……、義清にはできずにいた。


 璋子と一線を越えてから、万が一関係が露見した際には命を失ってもいいとの覚悟はできていた。


 だが……。


 (自分は死んで責任を取ることができるが、残されることとなる璋子さまはこの後、どうやって生き抜いてていかれるのか?)


 璋子の罪は、実子である崇徳帝にも連座するだろう。


 本能のままのあやまちが投げかける波紋は、あまりに大きすぎて……。
< 87 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop