花の下に死す
 「そのほうは北面武士・佐藤義清」


 鳥羽院は義清の名を記憶していた。


 「勤務態度も真面目であるのみならず、和歌のたしなみも深く、御所では評判の高い者であったのに、このような問題を起こすとは」


 「……」


 「武士にも風流に優れた者がおると、期待しておったのに」


 鳥羽院に冷たい視線を投げかけられ、義清は身動きができない。


 だがこのままじっとしているわけにはいかない。


 このままだと璋子も破滅だ。


 何もかも藤原得子の思う壺だ……。


 「……院、申し上げます」


 義清は意を決して鳥羽院に奏上した。


 「いかがした」


 息を飲み、非は全て自分一人でかぶる決意をした。


 「私は満開の花を眺めているうちに気が狂ってしまい、自分を抑えきれなくなり、待賢門院さまを手篭めにしようとしたのです」


 「義清どの、何を申される!」


 横に控える堀河は驚愕した。
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