花の下に死す
 (自分以外の周りのことなど考えることもない、いや考えることができなかった璋子さまが……)


 堀河はある意味感動したが、今は喜びに浸っている場合ではない。


 「ふふふ……。ついに罪を認めたわね。今回のみならず、過去のあやまちも!」


 得子はますます勝ち誇り、さらに鳥羽院をけしかける。


 「さあ院、一刻も早くこの女を罰してください。帝も連座は免れませんわね。この女が密通の末に生んだ御子ですから」


 「得子! 黙っておれ!」


 突然鳥羽院は得子に険しい態度を取った。


 「璋子。そなたは余の仕打ちを恨めしく思い、このような武士と関係を持ったのか」


 鳥羽院は切なそうに璋子に問いかけた。


 「わたくしは……」


 「まあいい。もうどうすることも叶わぬ。なぜならば余はそなたを、このままにしておくことはできないからだ」


 「……?」


 「尼寺へ行け」


 「え……」


 「一刻も早く出家するのだ。そなたがこのままここにいると、余のみならず帝も迷惑する」


 先ほどまでの切なげな表情が一変。


 鳥羽院は険しい表情で、璋子に言い放った。
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