叶う。 Chapter2
「……お前、バレるぞ。」
キョロキョロと辺りを伺う私に、シオンが小声でそう言ったので、私は仕方なく辺りを伺うのを止めた。
奥の個室に案内されたけれど、席に着いても私は何だか落ち着かなかった。
何故ならこのお店は、仕切りや壁などが全部水槽になっているのだ。
水槽を優雅に泳ぐ魚達は、とてもカラフルで見たことも無い色の魚達がとっても私の興味を惹いた。
照明も貝殻をモチーフに作られてあって、私はそれだけでも気になって仕方がなかった。
モノクロの世界から見る魚達は、形は違えど色は全部同じに見えた。
だから魚がこんなにカラフルだったなんて、海藻にまで色があったなんて事を私は知らなかった。
そしてそれが、こんなにも美しい生き物だった事にとても感動した。
私はふと、和也とのデートの約束を思い出した。
そして絶対に水族館に行きたいと、密かに思った。
ママ達は適当に料理を選んでいたけれど、私は目の前のカラフルな魚達が泳ぐ姿をしっかりと目に焼き付けた。
「あーちゃんお肉?お魚?」
ボーッとその美しい生き物に気をとられていると、不意にレオンがそう聞いてきた。
私はちらりとメニューに視線を向けたけど、私には判別出来ない文字で書かれていた。
「お肉がいい。」
私はそれだけ言うと、また綺麗な小さな生き物に視線を向けた。
ヒラヒラと優雅に揺れる尾びれが、とても幻想的だった。