叶う。 Chapter2
だから今は極力、ママに心配をかけたくない。
あの子と入れ替わった時は、ただ自分の都合でママに嫌われたくないと感じていたけれど、今は何故かママの事が大好きだ。
それは、ママが私を受け入れてくれたからだろうと思う。
突然我が子の人格が代わってしまったのに、ママはあの子じゃなくて私をも大事にしてくれる。
だから私もママには迷惑を掛けたくないし、心配をさせたくないと感じるんだろう。
人間の感情は複雑で繊細だ。
あれだけ怨みと復讐だけを考えていた私が、最近は他人に色々な感情を抱いている。
もちろん、私は狩る側の人間を止めるつもりは無いけれど、それは水面下で行うべき事だと、今はそう考えている。
誰かにバレる事がないように、細心の注意を払って事を成し遂げるのが最善だろうと思う。
発表会が終わった今、きちんと計画を練ってそれを粛々と実行に移さなくては。
ママに手を引かれながら歩いていると、私達は直ぐに近所のレストランに着いた。
その場所はとても美しかった。
モノクロの世界で見るのと、鮮やかな彩りの世界で見るのは全然違った。
「いらっしゃいませ、月島様。お待ちしておりました。」
きちんと教育された店員さんが、私達を席に案内してくれたけれど、私は初めて見たその場所の光景に感動してキョロキョロと辺りを見回した。