夜空の琥珀
 
「わ、若葉くんは今まで何をしてたの? 教室にいなかったけど!」


「ああ、土屋先生に呼ばれてて」


「今までずっと話してたの? ずいぶん長かったんだね……って、今何時!?」



 すっかりサッパリ忘れていたけど、今は放課後でしょ?

 ということは部活に行かなくちゃいけないのでは?



「ちょっと待っててね」



 若葉くんがズボンのポケットから取り出したのは、ネイビーのシンプルなスマホ。



「えーっと、ただ今17時25分! ……うん始まってるね……」



 私はガクリ、と膝から崩れ落ちた。



「紅林さんっ、大丈夫!?」


「そんな……遅刻……昨日休んだのに……遅刻だなんて……」



 憧れの人には追いつけないし、上級生には窒息死させられそうになるし。

 ホント何なのかしら、今日……。
 
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