叶う。 Chapter3
思わずシオンに呼びかけたくなる衝動に駆られたけれど、それは絶対に出来ない。
外見はレオンと同じで変わってはいない、強いて言えば少し髪が長くなったくらいだろう。
だけれど見れば見るほど、シオンの様子は普通じゃない。
元から感情を表に出すことはなかったけれど、それでもここまで完全に感情が感じられない表情を、私は一度も見たことがなかった。
その瞳は生気すら感じられないほど冷め切っていた。
僅か1年くらいの間に、一体シオンの身に何があったというのだろうか。
そんな私の思考は、突然話し始めた双子の父親によって完全に遮られた。
「アンナ、だったかね?君の名前は。」
突然そう呼ばれて、私は一瞬にしてまた感情を殺すことに集中し始めた。
ゆっくりと視線を双子の父親に向ける。
「・・・・はい。」
私がそう返事をすると、双子の父親は口角だけを上げて笑いながらこう言った。
「アンナ、ね。ありふれた名前だ。」
私はその言葉には返事をせずに、ただ感情を見せない眼差しで双子の父親を見つめる。
双子の父親はそんなことはあまり気にならない様子で、にこやかな顔をしていたけれど、その瞳はやっぱり笑っていなかった。
「そんなに怖い顔をしなくても、別に君を今すぐどうこうしようとしている訳じゃない。さぁ、食事でもしながらゆっくり話をしようじゃないか。」
双子の父親がそう言うと、さっきとは別の扉からメイド達が料理を運び込み始めた。