叶う。 Chapter3
何だかシオンの様子がおかしい。
だけれど何がおかしいのか、分からない。
「君が居なければ、ジャスティンは完璧にはなれないんだ。だから君が居てくれて本当に良かった。」
双子の父親はそう言って冷笑を浮かべた。
私は無表情のまま、その言葉の意味を考えた。
完璧になれない?
もう充分過ぎるほど、シオンはこの父親に苦しめられてきた筈なのに、今更何故私という存在が必要なのかを考えた。
だけれど私にはその答えが分からない。
その瞬間、カチャンと食器に何かが当たる音がした。
全員の視線が、一斉にその音の方向へ向けられた。
その音を立てたのはママだった。
ママは手にしていたナイフをお皿に落としてしまったみたいだった。
その理由は離れていても直ぐに分かった。
口元にハンカチを当て、俯くママの手が小刻みに震えているのがこの距離からでも分かったからだ。
きっと手からナイフが滑り落ちてしまったんだろう。
双子の父親はそんなママを睨むように目を細めた。
「リサ、具合が悪いなら部屋に行きなさい。お客様に失礼じゃないか。」
双子の父親は全身に鳥肌が立つほどに冷たい声音でママにそう言った。