Snow Noise
「もう、川島くんは甘いのよ。
子どもが怪我をしなかっただけ良かったけれど、そう何度もガッシャンガッシャンやられたらね、――」
「あれはどうしようもないだろう。
それにあの子の母親も、矢崎さんに謝っていたじゃないか」
「…あの、私が悪いんです。
私がちゃんと確認しなかったから……」
慌てて頭を下げる私に
「……っ」
追い打ちをかけるかのような、舌打ち。
「矢崎さんさ、謝るのは誰にでもできるわけ。
もっと視野を広くもってもらわないと、今日のは完全に避けられたでしょ?」
「…はい。申し訳ありませんでした……」
「ほら、もうこのくらいしてやれよ。
矢崎さんが辞めちゃったら困るのは俺らなんだからな」
「……もういいわ。あとは川島くんに任せる。
私、どうも矢崎さんを見てるとイライラしちゃうから」
すれ違う際の、馬鹿にしたような一瞥。
「まさかこれくらいで辞めたりしないわよね?」
吐き捨てられた言葉が、胸に突き刺さる。