恋するキオク
〜10時からはステージ発表の部が始まります。生徒のみなさん、および職員の方は時間までに体育館へ集まってください。
なお、今回審査員になっている先生の方々は……〜
体育館に並べられた折畳みのパイプ椅子。
真ん中に用意された審査員席に座ると、オレの隣には理事長がゆっくりと腰を掛けた。
「今年の円城祭はずいぶん賑やかになったな。露店も校舎内のコーナーも見ていてとても楽しいよ。省吾はもう全部回ったのか?」
「半分ほど。まだ運営の仕事も残ってるから、後でゆっくり回るよ」
「うん、そうか…。相変わらずしっかりしてるな、お前は」
目の前にある幕の降りたステージを眺めながら、オレは黙って軽く頭を下げた。
生徒達の声がまだざわめき続ける中で、高い位置にあるスピーカーからはクラス紹介のアナウンスが流れる。
出し物の順番は、各クラスの代表による事前のくじ引きによって決められていた。
そして…
「最初は二年C組か。ほぉ…ここにある役名のこの子。確かずいぶん前に紹介してもらった、省吾が付き合っているという子じゃないのか?」
「うん…。相手役は圭吾らしいよ」
「圭吾?でもここには…」
「代わったらしいんだ。急遽ね」
そのステージでは、いきなり最初からオレを複雑な気分にさせる劇が始まろうとしていた。
少しずつ早くなっていく鼓動。
振り返ることもしないまま応えるオレに、隣からは何かを思うような視線が送られてきていた。
「省吾、お前……」
「あ、始まるみたいだよ」
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