Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「ちょ、離し──」
「オイ!コイツに指一本触らせるな!」
あたしの戸惑いなんて露知らず。
爆笑男は気にもしていない様子でこっちに向かって走ってきた男の人にあたしを無理矢理押し付けた。
「すぐ終わるから待ってろ」
「ちょっと……!」
失礼男と一緒に広場の真ん中まで歩いて行く爆笑男。
その後ろ姿をあたしはぽかんとした表情で見ている事しか出来なかった。
……ちょっと、何コレ。有り得ないんですけど。
何であたし喧嘩に巻き込まれてんの?
何であたし知らない人に護られてんの?
意味分かんない。
ホント、意味分かんないよ!!
「──へぇ。こんな所に女を連れて来るとは随分と余裕だな」
一人心の中で憤慨していると、不意に二人が歩いていった方から“女”という言葉が聞こえてきた。
この状況の中、自分が“女”というキーワードに最も近いという事ぐらい分かる。
となれば、視線を向けるのは当然で。
けど、その人を見ようにも前の人が邪魔で見えなかった。
目の前にいる男の人の背後からにょきっと頭だけを出し、周囲を確認。
何かあったら嫌だしね。