2人だけの秘密。


俺はそれに気づくと、風呂場から離れて再びリビングに戻った。

っつか、風呂入ってて玄関の鍵開けっ放しって、マジで危ないな。

そう思いながらしばらく鏡子を待っていると、数分後に風呂場のドアが開く音がした。


…どうやら鏡子が風呂からあがったらしい。


だけど普通に会うのはちょっとつまんないから、俺はドアの陰に隠れて鏡子を待つことにした。



ドキドキ ドキドキ



静かなリビングで息をすることすらも慎重になっていると、鏡子がこっちに近づいてくるような足音が聞こえてくる。

早く会いたいのを抑えて待っていたら、その時ようやくリビングに鏡子が現れた。



「わっ!」



ほんのちょっとだけ、本当にちょっとだけ軽く驚かしたつもりだった。



だけど……



「!!っ、きゃああっ!!」

「!?」



鏡子は俺のそれに異常なくらいびっくりすると、そのまま走って再びリビングを出て行ってしまった。

俺が鏡子を驚かせたはずなのに、思わずその反応に俺までビビってしまう。

でももちろんビビったままでいるわけにいかなくて、俺は逃げる鏡子を急いで追いかけた。



「鏡子!」

「やだっ、やだぁ!」

「落ち着けって、俺だよ!」

「…?」


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