2人だけの秘密。
「!」
…修史さん、怒ってくれてる…。
そのことに思わず嬉しくなる。
ちなみに今日はちょうど夏木さんが早番で吉河さんも出勤する日だから(絵里奈は休み)、売り場には修史さん以外にその二人しかいない。
すると、やがてまた修史さんの声が聞こえてきた。
「黙ってないでなんか言え。誰が鏡子の制服を傷つけた?」
その問いかけに、夏木さんが答える。
「っ…店長、あたし達を疑うんですか!?
もしかしたら、五十嵐さんの自作自演かもしれませんよ!
あの子が一人で悲劇のヒロインぶって…!」
しかしその言葉に、修史さんが怒鳴って言った。
「ふざけんな!
自作自演?よくそんなことが言えるな!あれだけ制服をボロボロにされて、アイツがどれだけ傷ついてると思ってんだよ!
何があってこんなことしたのかは知らねぇけど、もう二度と鏡子を傷つけんな!」
…中の様子は全然見れないけど、修史さんがそう言ってくれるのを聞いてあたしは泣きそうになる。
でもこれ以上聞くのは何だか申し訳なくてその場を離れようとしたら、今度はまた夏木さんの声が聞こえて来た。
「…柳瀬店長は、五十嵐さんのことばかり庇うんですね」