2人だけの秘密。
この声は、鈴木店長(旧店長)の声だ。
そう思って、「はい」と返事をして声がした方を振り向くと、
そこには見慣れた鈴木店長と、その隣に若い男の人が立っていた。
…って、この人…!
「おはよう。
もう聞いてると思うんだけど、あたしは明日から本店に戻らなきゃいけなくて…。
その代わりにこの人が新しくこの店の店長になるから。名前は、柳瀬修史(ヤナセ シュウジ)くん、24歳。
まだ若いし経験も浅いから、しっかり支えてあげてね」
鈴木店長があたしにそう言うと、隣にいる柳瀬店長とやらは「初めまして、柳瀬です」とあたしに向かって挨拶をする。
だけど…
「…」
「…五十嵐さん?」
あたしは、そんな柳瀬店長の前で、固まったまま動けない。
っていうか、頭の中が真っ白でわけがわからない。怖い。
だって、その「柳瀬修史」は…
あたしがたまに夢の中で逢っている、“君”そのものだったから。