2人だけの秘密。
…───翌朝。
目が覚めると、抱きしめて寝たはずが、鏡子の姿がなかった。
不思議に思って寝室を出てリビングに行くと、そこには朝ごはんを作ってくれている鏡子がいて…
「あ、おはよう。修史さん、」
「…おはよ」
その笑顔に、思わず心からほっとした。
……よかった。いなくなったのかと思った。
そう思って椅子に座ると、鏡子が出来上がったらしい朝ごはんを目の前のテーブルに並べてくれる。
「おー、美味そう」
俺がいつかに「朝ごはんはパン派」って鏡子に言ったことがあって、それを覚えてくれていたらしい鏡子はサンドイッチを作ってくれた。
ちなみに今日も仕事だから、と言って目の前に作ってくれた弁当も置く。
鏡子が作ってくれるご飯は、何だって美味しい。
…鏡子ともし結婚したら、こういうふうに毎日作ってくれんのかな。
そう思いながら、早速サンドイッチを食べようとしたら…その時奥のキッチンに置いてある見覚えのない弁当箱が視界に入った。
……なんだ?あれ…鏡子の?
「…鏡子も、弁当持って何処か行くの?」
そう思ってそう聞いたら、鏡子が少し慌てたようにして言う。
「え、あ、ううん!あれはサンドイッチいっぱい余っちゃったから、お昼に自分家のマンションで食べようかなーって!」
「…ふーん」
…なんか、変だな。
確かに気付いていたのに、俺はそれ以上口に出さなかった。
「また鏡子とすぐに会える」ことが、当たり前になっていたんだ。