2人だけの秘密。
そもそも、俺は中学から高校までずーっと荒れていた。
親や教師に反抗しまくって、学校もろくに行かないで、昼間は仲間とゲーセンに行ったり本当にいろいろやらかしていた。
学生の時は将来のことなんて全く考えなかったし、正直どうでもよかった。
適当に彼女をつくってもまともな恋愛をしなかったし、見た目は周りから「イケメン」ってよくそう言われてチヤホヤされまくっていたから、
いろんな女の子をとっかえひっかえして遊びまくっていたのを今でもはっきり覚えている。
…でもそんな時、鏡子が夢の中に出始めて、俺とは全く真逆のタイプであるその子に俺は初めて本気で恋をした。
夢の中で会った子なのに一目惚れなんて、自分でもどうかしてると思った。
だけどそれでも「もう一度会いたい」って思いが強くなって、そう思っていたら半年後にまた鏡子が夢の中に出て来て…。
夢の中なのに不思議と名前も知っていて、二回目に会えた時は「夢だ」ってわかったからそれをコントロールしたんだ。
それから、俺は鏡子のおかげでやっと高校生活の残りの一年をまともに過ごすことが出来た。
もともと勉強は出来る方だったし、むしろ得意だったから荒れていても単位は十分にあった。
そして、やっと落ち着いて高校を卒業してから、おもちゃ屋さんなんて全く柄にもない会社に就職。
ここに就職した理由は単純。ただ「給料が良いから」。
でも仕事はわりと好きだったけど、子供は苦手だった。
だけどそんな時…俺は上司に言われた。
「勉強も兼ねて、支店の店長を務めてほしい」
…ビックリした。
この俺が店長なんて、何かの間違いだとも思った。
それに、店長なんてこの俺に務まらないに決まってる。