2人だけの秘密。



あたしが独りそう思っていたら、鈴木店長が柳瀬店長に言った。



「柳瀬くん、実は五十嵐さんはうちの店の従業員の中でもダントツに仕事が出来ないコでね、最近はずっと売り場には出してないのよ」

「え、そうなんですか?」

「売り場に出してしまえばミスばっかり繰り返して毎回トンデモナイことをしでかすから。
だから迷惑をかけると思うけど、しっかり見てあげてちょうだいね」



そう言って、申し訳なさそうな顔をして見せる。


…うん。否定出来ない。

それに、これから柳瀬店長に迷惑をかけちゃう自信がいっぱいあるから。


鈴木店長のそんな言葉にあたしが苦笑いを浮かべると、柳瀬店長は「トンデモナイことって、気になるな」なんて無邪気に笑った。



******



それから少し時間が経つと、お昼休憩の時間になった。

あたしは在庫が置かれてある倉庫を後にすると、作ってきたお弁当を持って裏口に向かった。

いつもこの時間は、あたしは店の裏にある誰もいない静かな場所でお昼休憩を過ごしている。

そして今日も晴天の為、そこで食べようと外に繋がる裏口のドアを開けると…



「!?」

「…あ、五十嵐さん」



なんとそこには、休憩中の柳瀬店長がタバコをふかしている姿があった。



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