2人だけの秘密。
絵里奈ちゃんはそう言うと、ピースサインを浮かべてニッコリ笑う。
「っ…何処!?鏡子、何処に居んの!?」
その絵里奈ちゃんの言葉に俺が必死でそう聞くと、絵里奈ちゃんが言った。
「鏡子は、実家の―――…」
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それから数日後、ちょうど会社から春休みを貰っていた俺は、朝早くにマンションを出た。
そして絵里奈ちゃんに言われた通りの電車に乗って、他にはあまり乗客がいないなか隅の方に座る。
少しの不安を覚えながら、だけどやっと鏡子に会えるかもしれないという嬉しさを抱えて外の景色を眺めていると、だいたい三時間くらいで目的の駅に到着した。
……ここか。
電車から降りると、そこには静かな田舎の風景が広がっていた。
ここが、鏡子が生まれ育った町なんだ。
春だから桜も満開に咲いていて、それに何より空気が綺麗。
俺は早速駅を出ると、絵里奈ちゃんに事前に貰った住所のメモをポケットから取り出した。
鏡子の実家は、海の近くにあるらしい。
途中、交番で場所を聞きながら一時間くらい歩くと…家がたくさん並んでいるところに着いた。
……このへんのはずなんだけどな。
そう思っていると……
「じゃあミキちゃん、これは?」
「!」
次の瞬間、ふいに近くから愛しい声が聞こえてきた。