2人だけの秘密。
鏡子はそう言うと、俺から視線をはずしてうつ向く。
…結婚…?
その言葉に、一瞬にして頭の中が真っ白になる。
「は…?」
だけど全然信じられなくて、むしろ信じたくない現実に俺は目を泳がせた。
まるで、頭を殴られたような衝撃。
しかも、そうしている間にも鏡子の傍にいる小さな女の子が言った。
「…ママ、」
「!」
「この人、だーれ?」
そう言って、きょとん、とした顔で俺に指を差す。
“ママ”
「……」
「ミキちゃん、人に向かって指を差しちゃダメよ」
「だって…」
そして、鏡子がミキちゃんって子にそう注意していると…
「鏡ちゃん、どした?」
「!」
ふいに公園の入口で、若い男の声がした。