2人だけの秘密。
その声に振り向くと、そこにいたのは鏡子と同じくらいの年齢の男で。
そいつを見た瞬間、俺は物凄く嫌な予感がした。
もしかして、コイツは…。
「…祐くん」
そう思っていると、鏡子がそいつを見てポツリと呟くようにそう言った。
「祐くん」というのはそいつの名前らしく、鏡子がそう呟くとその祐くんが俺達の元に遣って来て言う。
「…その方は?」
そう言って、首を傾げて俺を見る。
その問いかけに、鏡子が目を泳がせて言った。
「前の、会社の…上司」
「上司?」
「……おもちゃ屋さんの」
「!」
鏡子がそう言うと、その「祐くん」は…
「あ!」
「?」
突如、何かよくわからない声をあげて、そうかと思えば俺に「どーも」と軽く頭を下げた。
「ど、どーも…?」
そしてその後すぐに、鏡子の両肩に手を遣って言う。
「じゃあ、ミキちゃんは俺が面倒見てるから、鏡ちゃんはその上司さんと話してきなよ」
「!!…え」
「だってせっかく来てくれたんだし」
祐くんはそう言うと、ミキちゃんを抱えてその場を後にした。