2人だけの秘密。


え…

な、なんで?

なんで、柳瀬店長はあたしが広喜くんに今日会うことを知ってるの!?


そう思って、あたしは思わずびっくりして目を見開く。

驚きすぎて言葉を無くしていたら、柳瀬店長はあたしの肩にぽん、と軽く手を遣って、



「じゃ、よろしくね」



そう言って、その場を後にした。



「…、」



その言葉に、「はい」とも頷けない。

っていうか、声が出ない。


柳瀬店長の突然の言葉に動けないでいたけど、やがてあたしは我に返ると柳瀬店長に言った。



「あ、あの…店長!」



しかし…時は既に遅し。

柳瀬店長はもう売り場に戻ったらしく、その場にはもう誰もいなかった。



……柳瀬店長って、謎…。




……………



それからしばらくして倉庫で入荷した商品に値札を貼っていると、そこへ吉河(ヨシカワ)さんが入ってきた。

吉河さんとは50代前半の女性で、パートで働いている。

仕事は出来るけど、基本休むこととかサボることしか考えていない。



「あーもうやだ、疲れた…肩痛い、」



………ホラね。


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