2人だけの秘密。


「鏡子、出て来いよ」

「じゃないとこのドア、壊しちゃうけど?」


「…っ…」



広喜くん達はあたしがトイレに隠れているとわかりきっているため、

さっきからこうやってずっとこの前を離れない。


…どうしたらいいんだろう。


急なことで頭の中がパニックに陥っているなか、あたしは一生懸命頭を働かせて考えた。


本当は警察に連絡した方がいいんだろうけど、

あんまり大事にはしたくない。


そう考えていると、あたしはふいに“あの人”の顔が浮かんだ。



…───柳瀬店長。



どうして柳瀬店長の顔が浮かんだのかは自分でもわからないけれど、

あたしはポケットの中に入っている携帯をすぐに取り出す。



…でも。



「!」



携帯を開くと、タイミング悪く“充電してください”の表示が…。


どうしよう…どうしよう……えーい、かけちゃえっ!


だけど迷っているヒマなんかなくて、あたしはすぐに柳瀬店長に電話をかけた。


すると…



『…もしもし』


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