2人だけの秘密。
電話の向こうで、柳瀬店長の声が聞こえてきた。
ちゃんとつながったそれに安心しながらも、
あたしはドアの前にいる広喜くんたちに聞こえないように言う。
「…てん、ちょ…」
「?…どした?」
「…けて、」
「え?」
「助けてっ…」
あたしがそう言うと、バッテリーが完全になくなったのか電話が途切れた。
「!」
…わ、まずい…ちゃんと伝わったのかな…。
そう思っていると…
「鏡子、聞こえてんのかよ!」
「!」
ふいに、広喜くんのそんな声が聞こえてきたかと思えば…
ドンッ!!
トイレのドアが、誰かの足によって強く蹴られた。
「やめてっ…!」
あたしはそれにビックリしてそう言うけど、広喜くんは怒ったような口調で言う。
「やめてほしかったら出て来いよな」
そう言って、もう一度強くドアを蹴った。
「!…っ、」
…どうしよう。
柳瀬店長、お願い!助けに来て…!