妖刀奇譚
シャーペンを指先で回す。
そういえば何気なくペン回しをやったとき、玖皎が過剰に反応していたことをちらりと思い出した。
「ねえ、來世」
「あんだよ」
「たとえばの話なんだけどさ……知り合いができて、毎日顔を合わせたり話したりはするけど、友達とか全然そういう関係じゃなくて。
話しかければ相手してくれるし、こっちにも話しかけてくれるけど、ちょっと線引かれているような……。
そういう人と仲良くするには、來世だったらどうする?」
「……は?」
話を聞いた來世は困惑した表情になり、眉間にしわを寄せて幼馴染を見た。
「なんだそのシチュエーション、ややこしすぎて意味分かんねえよ」
「うるさいわね、ややこしいんだから仕方ないでしょ」
「ええと、要するにおまえは今、そのややこしい関係の奴とどう付き合えばいいか分からなくて悩んでるってことでいいのか?
誰だよそいつ。あっ、もしかして好きな人とかか?」
「断じて違います、にやけないでください」